読人しらずの歌 - すずしやと

#017 涼しやと草むらごとに立ちよれば暑さぞまさるとこなつの花

作品サイズ:半紙サイズ 約33×24 cm
仕立て額装

どんなうた?

詩歌: すずしやと くさむらごとに たちよれば あつさぞまさる とこなつのはな
涼しやと草むらごとに立ちよれば暑さぞまさるとこなつの花
作者:よみ人しらず
歌集:和漢朗詠集
制作:11世紀

常夏の花といえば、今ならトロピカルなブーゲンビリアとかハイビスカスを思い浮かべますが、平安時代の当時は、撫子(なでしこ)のことだったそうです。
清楚なイメージのある撫子を見て、「余計暑くなる」と悪くいわれるのは意外です。

この歌は、常夏の花と夏の暑さとをかけた言葉遊びととられています。
でも、この時代の短歌が単なる言葉遊びなはずありません。もしや、と思って調べてみると、やはり恋の歌が隠れているようです。

「立ちよれば」は、男性が女性を訪ねる場合によく使われ、「とこなつ」も「床」と同音であることから、しばしば恋歌に用いられるとのこと*。

*参考:文化情報学 5巻1号(平成22年6月) p20(81)

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